2012年6月19日火曜日

従来型資本主義の脱却。里山資本主義という生き方 エコチャンネル「里山資本主義 ~革命はここから始まる~」

一昨日に引き続き、NHKで放送された番組の中で、エコ環境問題に関連するものを無料で配信する「エコチャンネル」で配信中の「里山資本主義 ~革命はここから始まる~」をシェアしたいと思います。
里山資本主義」という言葉を聞いて、理解できる人は少ないでしょう?
価値自体があやふやなお金を刷り続け、エネルギーや資源に投資することで、見かけの価値を上げる。お金が中心となってしまったマネー資本主義または金融資本主義などと揶揄される現在の経済に対し、里山で自然に生み出されるものに価値を見出し、生活しようという新しい生き方をこの番組の中で「里山資本主義」と名づけられています。
この番組も特集番組「フェイス(face)」で、中国地方のみに昨年末に放映されたものです。
今回は長いため2つに分割されて配信されています。
前半の出だしはギリシャのデモ隊の映像から始まります。お金でジャブジャブになったマネー資本主義から脱却しようとする強い想いが伝わってきます。
まず、 オーストリアの木材のエネルギーを循環させる事例を紹介。山で切り出された木材からペレットを作り、灯油のようにタンクローリーで各家庭に送り届けられています。北海道くらいの大きさの国で、日本で1年間に伐採される木材よりも多くを伐採している。しかも日本のように水に恵まれた国ではないのに森林はどんどん再生し続けているということに驚かされます。
家に配達されたペレットは、家庭に設置したボイラーで燃やされ、給湯・暖房に利用されます。日本のように、各部屋で独立した暖房設備ではなく、給湯と暖房がすべて1つのボイラーで供給できるのです。それは効率がよさそうです。需要がまとまれば、どんどんペレットボイラーも開発が進んでいきます。従来の薪ボイラーのときの熱効率は60%ほどだったのが、現在では90%以上にまで進化しているそうです。日本のように電気・石油・ガスと3つの利権がそれぞれ縄張りを主張していては、そうもいきません。
もうひとつの話は、前回の岡山県真庭市の製材メーカーの取り組みが評価されて、高知県知事に乞われ森林資源を活かすプロジェクトを任されました。高知県は実に84%の面積が森林だそうで、木材だけでなくエネルギーなどの新たな価値が生まれると、地域も大きく変わるでしょうね。
後半は、日本国内で里山を活かす取り組みが紹介されています。
まずは、広島県庄原市のマツタケ山再生事業のお話。マネー資本主義は、投資したものはごくわずかな期間に結果を求めようとしますが、里山資本主義の考え方は短期間に結果を求めようとしない。体を動かすことが目的となるため、投資が失敗に終わったとしても楽しければそれでよいという考え方が非常に印象に残りました。皆が山に分け入り、協力し合うことに楽しみを見出すために、それが結果を生まなかったとしても良いのだそうです。それを聞くだけでもいろいろ挑戦のしがいが出てきますよね。
つづいて、山口県周防大島の事例の紹介。周囲を海に囲まれた島の利を活かして、みかん畑に50倍に薄めた海水を散布する。それだけで病害虫に強くなるという。さらに、魚をさばいたあとの不要部分を魚屋さんから貰ってきて肥料にしているという。いずれもタダで、特色のある農業が出来ている。漁師が取ってきた身近な魚のみを展示する、魚食文化学べる水族館。いま周防大島にはUターンIターンが増えていて、皆が里海と里山に魅力を感じて、その価値をさらに高める生活を送っているそうです。

ここまで映像を見ていて気づいたことは、資本主義では当たり前だと思っていた「お金」の存在がないことに気づきました。マネー資本主義(金融資本主義)の問題点をよくわかっているつもりの私でさえ、何か新たなことをするには「資本=お金」がいるものだと思い込んでしまっていました。しかし、この映像に写っている方々には自然があれば何でも出来るんだという想いが、「自然」「労働」「友情」を資本にしているんだと分かりました。
資本主義は儲けるか儲けないか、お金が多いか少ないか、世の中に勝ちと負けを作ってしまいました。私は人の前で資本主義について批判することもありましたが、決まって「じゃあ共産主義がいいの?」 と言われました。世の中には資本主義と共産主義の2つしかないと思い込んでいる人が多いのだと思います。いずれは新しい言葉が作られる事を望みますが、資本主義と共産主義の2つしかないと思い込んでいる人でもしっくりくる言葉として「里山資本主義」という生活様式を提案してゆきたいと思います。

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2 件のコメント:

  1. 人間の生活の原点ですね。お金じゃないね幸せは

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    1. 元々日本人は自然の恵みに対して感謝するように教育されていたのだと思います。それは、いろんな場所に祠が作られていることからも分かります。
      それがいつの間にか、お金が大事なものだと思わされるようになったんですね。でもお金がたくさんあっても幸せでない人はたくさんいますよね~

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